【苫小牧製鋼所】棒鋼生産(圧延工程)
圧延工程へビレット搬送(加熱炉、ダイレクト)
CCで製造されたビレットは、加熱炉もしくはダイレクト搬送ラインに入ります。
■加熱炉へ搬送

加熱炉ではCCで部分的に冷却されたビレットを圧延可能な温度である約1000℃まで均一に加温する均熱の役割と、 一度常温まで冷却されたビレットを圧延可能な温度まで加熱する加熱の役割を持っています。 当社の加熱炉は省エネ型バーナーであるリジェネバーナーを備えた加熱炉です。 このバーナーは、Aバーナーが稼動しているときはBバーナーが休憩しながら蓄熱し、ある温度まで蓄熱したらBバーナーが稼動し、 Aバーナーは蓄熱モードに変わります。よって無駄なエネルギーを使用せず、効率的、経済的な均熱・加熱条件を設定できます。 また平成9年からはクリーンエネルギーである地場産出の天然ガスを他社に先がけ使用を開始しました。
天然ガス
1961年から試掘を開始、1989年に産出に成功した苫小牧勇払油ガス田は、道内初の本格的油ガス田です。 1日あたりの生産量はガス724,000m3、油525kLです。 天然ガスはメタン(CH4)を主成分とする可燃性のガスであり、硫黄分を含まないため、燃焼時にSOXを発生せず、 NOXの発生も石油や石炭に比べ少なく、CO2の発生量も石炭の60%程度とクリーンなエネルギーです。 また貯蔵設備が不要であり、扱いやすく、価格が安定しているなどのメリットもあります。
■ダイレクトラインへ搬送

平成26年に加熱炉ラインとは別に、CCで生産されたビレット温度のまま圧延ラインへ搬送する ダイレクト搬送ラインを導入しました。 これにより天然ガスを全く使用せず大幅なコストダウンを実現しました。
圧延(粗→中間→仕上ロール)
加熱炉から抽出されたビレットは圧延に送られます。
圧延は粗(6基)、中間(6基)、仕上ロール(10基)に分かれており、全部で圧延機は22スタンド有ります。 1つ1つのスタンドにはそれぞれ孔型(カリバー)が彫られており、通過するたびに形状や長さが変化します。 また最終スタンドには節、ロール・鋼種・サイズマークが彫られており最終製品に刻印されます。

圧延は四角断面のビレットを縦横方向に圧延して長方形、楕円、丸に成形すると同時に、断面積を小さくしていく為に総長さは延びていきます。 その際、部分的に捻転(天地を90°回転)させ、縦横方向に圧延する箇所もあります。 また圧延するサイズ(太さ)によりスタンド数やカリバーの形状を変え、狙い通りの形状に成形します。 カリバーは圧延数量により磨耗してくるため、ロール間の隙間調整をしたり、一定数量圧延したカリバーは他のカリバーに孔替して、 JISで規定された細さ(重量)以下にならないように管理しています。
冷却床
圧延された鉄筋棒鋼は冷却床に到着します。 冷却床の長さは約80mあり、その床に長さは50mから70mほどの圧延された製品が並びます。 最速で1秒間に15mのスピードで冷却床に到達します。 冷却床は曲がらないように矯正する役目と、均一に冷却する役目があります。 また冷却床では圧延された製品の目視検査、重量測定をおこないJISの重量管理範囲内に適合しているかをチェックしています。
冷却過程は伸び縮みすることが目で見れます。 これは冷却過程で鋼が縮み、その後内部復熱で伸び(A3変態)、そしてまた縮み、まるで生き物のように動きます。 
精 整
冷却床で冷やされた製品をお客様のご要望の長さに切断、規定本数に結束します。 製品を切断する装置には450t製品シャーを使用しています。 D22以上は孔刃切断をしており、切断面の曲がりが無く、垂直で、 鉄筋と鉄筋の継ぎ手に最も多く使用される圧接が切断面の処理無く可能です。 製品シャーでは通常JISで規定された標準長さ3.5~12.0mの500mmピッチ切断のほか、10mmピッチでの切断もお客様のご要望にお応え致します。
結束・ラベル取り付け
製品シャーで切断された製品は指定本数に結束されます。 またD10、D13はお客様で使用しやすいように、規定本数をまとめて小結束とし、 その小結束をまとめて大結束として出荷します。 これらの工程はすべて自動的におこなわれます。
結束された製品には1束単位に識別可能な検査番号を付番しています。 その検査番号および検査番号のバーコードが印字されたラベルを自動で取り付けます。 この検査番号によりトレーサビリティが可能となっています。
製品の品質管理
圧延された鉄筋棒鋼はJIS(日本産業規格)で化学成分や機械的性質が定められています。 化学成分は製鋼に於いて取鍋から採取したものを最終成分として採用します。 機械的性質については品質保証室によって降伏点、引張強さ、伸び、曲げ性 などを測定します。
降伏点
『引張試験の経過中、試験片の平行部が降伏し始める以前の最大荷重を平行部の原断面積で除した値。』とJISでは規定または定めています。 簡単に説明しますと、試験片を一定の速度で上下に引張った時、降伏点まではその引張る事をやめると元の形の戻ります(弾性変形)が、 降伏点を超えると元の形には永久に戻らなくなってしまいます(塑性変形)。 この弾性変形と塑性変形の境目を降伏点と呼びます。 単位はN/mm2で引張る前の試験片の断面積で割った値です。
引張強さ
『最大引張荷重を平行部の原断面積で除した値』いわば引張って切断するまでにどれくらいの力に耐えたかという数値です。 降伏点同様、単位はN/mm2で引張る前の試験片の断面積で割った値です。
伸び
『試験片破断後における永久伸び。』試験片を引張っていくと降伏点を過ぎ、最大荷重点(引張強さ)を過ぎ、最後に伸びながら引きちぎられ破断します。 このときの伸びの長さが元の長さからどれだけ伸びたかを示す値が伸びです。 引張り試験をする前の試験片中央部に2点の標点をマークしておきます。 この標点間距離が引張試験によりどれだけ伸びたかを計ればわかります。
曲げ性
『割れを生じることなく曲げられる程度』180度曲げたときにその曲げ部に割れ等の異常が無いかを曲げ試験によって確認します。
製品から商品へ
製造された製品はすべて屋根付の倉庫に一時保管され、お客様へ出荷されます。 私たちは製品を造るのではなく、商品を創ることをモットーとしてお客様に喜ばれる商品つくりを目指し日夜努力いたします。